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ブルーライト対策、していますか?

ブルーライト対策、していますか?

〈話し手〉 綾木 雅彦 Masahiko Ayaki(慶應義塾大学医学部眼科学教室 特任准教授)

 近頃、「ブルーライト」という言葉を耳にする機会が多くなりました。主に話題になっているのがパソコンやスマートフォン、携帯ゲーム機の画面から出ている光で、体への悪影響が危惧されています。
 ただし、一方的に悪いわけではなく一日の中で浴びたほうがいい時間帯があることなどもわかってきました。
 そこでブルーライトが何者で、体にどのように影響しているのか、両者の関係を専門にご研究されている眼科医・綾木雅彦先生にご解説いただきました。

1)「ブルーライト」とは

 ブルーライトとはその名のとおり青色の光のことを言いますが、実は白色光と呼ばれる太陽や蛍光灯の光にも含まれています。これらは白色に見えますが、実際は虹の7色のような青から赤にかけての様々な光が混ざり合って白色を作り出しているのです(図1)。
 つまり、青く見える光だけにブルーライトが含まれるというわけではないのです。

ブルーライト(ブルーライト研究会HPより)

図1 ブルーライト(ブルーライト研究会HPより)

 この様々な色の光は、それぞれ波長が異なります。光は波のように伝わるとされており、それぞれの色で波の間隔が異なると考えられているのです。
 そして、目で見ることのできる光(可視光線)の中で青色のブルーライトは波長が380~500nm(ナノメートル:ミリメートルの1,000分の1)と最も短く、散乱しやすいと考えられています(図2)。

光の波長と散乱

図2 光の波長と散乱

 朝焼けや夕焼けの空が美しい赤色に染まるのも、この光の散乱に関係しています。昼間に比べて朝や夕方では光は大気の層を長く通過する必要があるため、水蒸気などの粒子にぶつかる機会が増えてしまいます。
 そのためブルーライトは地表に届くまでに散乱してしまい、残った色だけが見えるため地表からは朝日や夕日が赤く見えるのです(図3)。

朝焼け・夕焼けのメカニズム

図3 朝焼け・夕焼けのメカニズム

2)日常生活でブルーライトを発するもの

 白色光にもブルーライトが含まれているのは前述のとおりですが、特にブルーライトを多く含むのはLEDです。
 LEDは青色と黄色の2色の光だけを混ぜて白色をつくっているため、多くの色からなる太陽や蛍光灯の光よりもブルーライトの比率が高いのです。
 また、LEDは照明器具だけでなく、パソコンモニタやスマートフォン、携帯ゲーム機などにも使用されています。このようにブルーライトの発生源は身近なところにたくさんあり、普段から私たちは多くのブルーライトを浴びているのです。
 もう1点、ブルーライトの影響を考える時に注意しないといけないのは、光源からの距離です。距離が近づくと、その影響は格段に大きくなるのです。具体的には、影響の大きさは距離の二乗に反比例すると言われており、たとえば20cmと2mを比べると、20cmでは2mの時の100倍も大きな影響を受けます(図4)。テレビを観る時は通常1m以上離れるため影響は少ないのですが、顔から約20cmの距離で使用するスマートフォンや40〜50cmの距離で使用するパソコンでは、ブルーライトの影響はより大きくなります。

光源からの距離と受ける影響の大きさ

図4 光源からの距離と受ける影響の大きさ

3)ブルーライトは人体へどのように影響するのか

①眼精疲労の誘発

 はっきりとものを見るために、ヒトは無意識のうちに網膜上にピントが合うよう眼のレンズ(水晶体)の厚さを調節しています。ブルーライトは波長が短く散乱しやすいため、網膜の手前で像を結んでしまいます。そのため像がちらつき、ぼやけてしまうため、眼はピントを合わせようとレンズを調節します。つまり、私たちが意識していなくても、カメラのオートフォーカス機能のように、眼が常にピントを合わせようと働き続けるため、レンズを調節するピント調節筋(毛様体筋)が疲労し、眼精疲労の原因になります。
 さらに、ブルーライトには、目に入る光を減らそうと瞳孔を縮める筋肉(虹彩筋)を酷使したり、涙を減らす作用もあるなど、様々な悪影響がわかってきています(図5)。

眼の構造とブルーライトによる疲労

図5 眼の構造とブルーライトによる疲労

②体内リズムの乱れ

 ブルーライトは、体内リズムにも関係していることが知られています。食事や運動、温度、社会活動なども体内リズムに関係していますが、特に光、しかもブルーライトが体内リズムに大きく影響していることが、1980年代に研究で明らかになっています。
 眼などへの悪影響だけが注目されがちですが、実は朝、昼はしっかりとブルーライトを含む光を浴びることが大切で、その刺激が眼から脳に伝わり、体が目覚めて活動的になるのです。
 一方、夜はブルーライトを避けることが必要です。なぜなら、夜にブルーライトを浴びると、脳がまだ昼間だと勘違いして睡眠を促すメラトニンという物質が分泌されなくなるからです。通常は就寝の3〜6時間前からメラトニンの分泌が増え始め、次第に眠気を覚えて眠り、脳や身体を休めるというのが、人間にとって自然なリズムなのです。
 メラトニンの分泌は、夜12時に寝る場合、午前2時くらいにピークに達し、その後は次第に減って、すっきりとした朝を迎えます。ところが寝る直前までスマートフォンを使用しているとメラトニンの分泌が遅れ、ピークが後ろにずれてしまいます(図6)。そして朝の起床時にまだメラトニンがだらだらと分泌され、寝足りない気がするのです。
 現代では、夜でも照明で明々とさせているコンビニなどが多くありますし、深夜までパソコンやスマートフォンなどを使う人が多くいます。メラトニンの分泌には加齢の影響や個人差がありますが、寝つけない、よく眠れない、途中で目が覚める、ぐっすり眠れないなど睡眠の質が低下した人が増えているのは、ブルーライトによる体内リズムの乱れの影響も大きいでしょう。

メラトニンと睡眠、ブルーライトの影響

図6 メラトニンと睡眠、ブルーライトの影響

4)ブルーライト対処法

 最後にブルーライトの対処法をご紹介します。特に日々眼を酷使している人は、ピント調節筋の負担が減ることで眼精疲労の軽減につながります。眼精疲労は眼の疲れだけでなく肩こりや頭痛の症状も伴う場合があります。ブルーライトの特徴を知り、ご自身の生活パターンにあわせて役立ててください。

①眼精疲労に対処する

パソコンやスマートフォン使用時に、メガネやフィルター、アプリ等でブルーライトをカット

(既に症状がつらい場合)はビタミン剤など眼精疲労の効果がある医薬品の使用も良い

②体内リズムを整える

朝と昼はブルーライトを含む光をしっかり浴びる、夜はブルーライトを避ける

寝る3〜4時間前から照明を暗くするのが理想的

パソコンやスマートフォンを夜間に使用する時にはブルーライトをカットし、LED照明が白過ぎる時は光を調整する

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