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武田薬報webホーム > 特集 > 口呼吸、していませんか?~かぜをひきやすいのは口呼吸のせい?~

口呼吸、していませんか?~かぜをひきやすいのは口呼吸のせい?~

口呼吸、していませんか?~かぜをひきやすいのは口呼吸のせい?~

〈話し手〉 大久保 公裕 Kimihiro Ohkubo(日本医科大学耳鼻咽喉科学教室 教授)

 呼吸には口で行う「口呼吸」と、鼻で行う「鼻呼吸」があります。人間以外の多くの生物にも「口」がついていますが、口呼吸ができるのは、実は人間だけです。犬がハアハアと舌を出しているのは体温調節を目的に行われているものであり、口呼吸とは異なるのです。一見、人間はより高度な機能を持っているように思えますが、実は・・・
 意外に知られていない口呼吸の弊害と鼻呼吸の重要性について、耳鼻咽喉科医の大久保公裕先生にお話しいただきました。

鼻の穴はなぜ2つあるのか?

 なぜ鼻の穴は、1つではなく2つなのでしょうか。目は物を立体的に見るために2つ、耳は左右の音を聴くために2つ、口は1つです。そこから考えると、2つの鼻の穴で呼吸する良い点が分かります。
 鼻は、「異物を除去し、温かく水分を帯びた空気を体内に取り入れるため」にありますが、鼻の穴が2つである理由は、穴が1つより、2つのほうが表面積が増えて、空気中を浮遊する微粒子や病原菌を粘膜に多く付着させ、排除することができるためと考えられます(図1)。
 しかも鼻の呼吸では、空気の通り道が狭く、ゆっくり吸気されるため、取り入れられる空気は温められ、水分も含むようになります。さらに、鼻とのどとの境目にある扁桃組織(咽頭扁桃、アデノイドともいう)に花粉やウイルス、ハウスダストなどが付着することで、免疫機能が働き異物を排除すると考えられています(図2)。つまり、鼻で呼吸することで、冷たく乾燥した外気が加温・加湿されるとともに、異物が気管支や肺に直接取り込まれることも避けられるわけです。
 ところが口呼吸では、外気がそのまま取り込まれるため、口の中や気道が乾燥し、のどに炎症や痛みが起こったり、のどの両脇にある扁桃腺(口蓋扁桃)の腫れなどが起きやすくなります。また異物やウイルスも直接侵入するため、インフルエンザなどの感染症にも罹りやすくなります。
 鼻がつまって口呼吸になると、「のどがヒリヒリする」「のどがカラカラに乾燥する」と感じますが、鼻呼吸によって取り入れる空気は、柔らかく、湿度を持っていて温かいのです。そのことからも鼻呼吸の良さが分かります。

鼻腔内の表面積の違い

図1 鼻腔内の表面積の違い

鼻呼吸と口呼吸のしくみ

図2 鼻呼吸と口呼吸のしくみ

口呼吸の原因は様々

 母親のおっぱいは鼻呼吸をしていないと飲めません。人は皆、生まれた時は鼻呼吸です。ところが、物心がつく3~4歳の時にかぜをひくなどで鼻づまりになり、口呼吸を覚えると、その習慣がそのまま残ってしまうことがあります。口をぽかんと開けたままでいる子供を時々見かけることがありますが、もし鼻づまりがないのに口呼吸になっているとすれば、それは習慣になっていると考えられます。そうした習慣性の口呼吸は、就寝時にテープを貼って口が開かないようにすることなどで矯正できるので、母親など周囲の人たちが早めに気づいてあげることが大切です。
 また、花粉症、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、鼻中隔湾曲症びちゅうかくわんきょくしょう(鼻が曲がっている病気)、特に子供ではアデノイド増殖症なども鼻づまりを起こすため、口呼吸の原因になります。さらに、過度の飲酒は鼻粘膜の血管を拡張させるため、鼻づまりの原因になります。このほか、肥満になると首の周りに脂肪がつき太くなるため、空気の通り道が狭くなり、口呼吸になりがちです。このように口呼吸になる原因は様々ですが、少なくとも飲酒や肥満など、生活習慣に気を配りぜひ改善に努めていただきたいと思います。

口呼吸が引き起こす体の不調

 最近は、口呼吸の弊害に注目し、「口呼吸が病気の原因となっている」という見地に立って、治療と並行し鼻呼吸を指導する医師が増えています。
 様々な体の不調は、口呼吸が原因であることも想定されるため(表1)、日ごろから鼻呼吸に切り替えるよう努めることが大切です。

口呼吸が引き起こす体の不調

表1 口呼吸が引き起こす体の不調

大久保公裕先生ご監修

適切な薬物療法で鼻づまりを治す

 口呼吸のほとんどは鼻づまりが原因と考えられるため、日常生活においては鼻の通りを良くしておくことが大変重要です。特に、かぜは鼻づまりの最大の原因といえ、日ごろからうがいや手洗いの励行、規則正しい生活習慣、十分な睡眠などで予防を心がけましょう。
 しかし、かぜをひいてしまって鼻づまりになった場合は、できるだけ早く鼻づまりを改善する成分の入ったかぜ薬を服用しましょう。たとえば、鼻の血管を収縮して鼻づまりを改善する成分である塩酸プソイドエフェドリンなどを含む薬剤がOTC医薬品の中にもあります。薬局には多くの種類のかぜ薬があるので、薬剤師、登録販売者に相談しながら適切なものを選びましょう。
 ただし、市販のかぜ薬の服用期間には目安があります。5~6回服用しても症状が良くならないときは、原因となる病気が別に隠れていることもありますので、病院やクリニックを受診してください。効果を感じているようであれば、5日ほど服用すれば、症状は改善されるでしょう。5日服用してもまだ症状が続いてつらいようであれば、こじらせている可能性があるので受診しましょう。

主症状がのどの痛みでも、鼻づまりがないか意識を

 かぜの主症状がのどの痛みであっても、実はその原因が鼻づまりである可能性も考えられます。鼻づまりを改善することでのどの痛みが軽減されることもありますので、かぜをひいた場合はぜひ鼻の症状にも目を向けてみましょう。
 鼻づまりによる口呼吸が続くと、のどの炎症や痛みがますますひどくなり、単なるかぜからウイルスや細菌の混合感染に進展するリスクも高まります。混合感染を引き起こすと症状がより重症化しやすく、治りにくくもなるので、鼻づまりを放置しないことがとても大切です。

かぜ予防と鼻づまりの改善で鼻呼吸の継続を

 鼻づまりの多くは鼻洗浄でも軽快しますので、クリニックなどで専門的な鼻洗浄を行うこともできます。定期的に鼻洗浄をすることは、感染症予防にもなります。その他、かぜの予防にはマスクも活用しましょう。また、鼻の症状がない健康状態にある時に、あまり過保護にならずに鼻の粘膜をある程度外気にさらし、刺激することも大切です。もちろんかぜをひいている人の側にわざわざ近寄る必要はありませんが、鼻の粘膜組織を刺激する(例:鼻洗浄など)ことが外的刺激への抵抗力や免疫力の増強にも期待できるからです。
 正常な呼吸は鼻呼吸です。いつも健康で元気な生活を送るために、鼻づまりの予防と改善を常に心がけ、鼻呼吸の維持に努めていただきたいと思います。

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