寒暖差アレルギーは本当のアレルギーではない!?風邪や花粉症でもない鼻症状

寒暖差アレルギーは本当のアレルギーではない!?風邪や花粉症でもない鼻症状

一日の温度差が大きくなる季節の変わり目は、体調を崩す人も多いもの。この時期になると鼻がムズムズしてくしゃみが出る......そんな症状に、「これって風邪かな? まさか花粉症?」などと不安に思う人も多いのではないでしょうか。でもその症状、もしかしたら「寒暖差アレルギー(血管運動性鼻炎)」かもしれません。近年注目されている寒暖差アレルギーの原因や予防法・対処法などをご紹介します。
白土 秀樹 先生

監修

白土 秀樹 先生 (医療法人しらつち耳鼻咽喉科 理事長、九州大学医学部臨床教授)

寒暖差アレルギーは医学的にはアレルギーではなく血管運動性鼻炎による症状

寒暖差アレルギーは本当の“アレルギー”ではない!?

最近注目されるようになった「寒暖差アレルギー」は、実は医学用語ではなく、寒暖差に反応して症状が出ることを指した造語。医学的には「血管運動性鼻炎」と同義語です。

朝晩の気温差が大きくなる春秋などの季節の変わり目は体調を崩しやすいものですが、特に季節の変わり目になると毎年くしゃみや鼻水に悩まされるという人は、寒暖差アレルギーかもしれません。

寒暖差アレルギーは厳密にはアレルギーではなく、温度差が刺激となって起こります。温度差によって自律神経が誤作動し、鼻の粘膜の知覚神経が刺激されることでくしゃみや鼻水が起き、鼻の粘膜の血管が拡張することで鼻水・鼻づまりが起きるとされています。

寒暖差アレルギー発症は自律神経の乱れが一因

寒暖差アレルギーを発症する原因は特定されていませんが、一説には自律神経の乱れが一因といわれています。

自律神経は、交感神経と副交感神経のバランスにより体を一定の状態に調節していますが、刺激に反応して血圧や血管収縮・拡張・発汗などをコントロールします。例えば、暑いときに汗を出して体温を調節するのは、自律神経の働きによるものです。

しかし、何らかの原因で自律神経が乱れると、この調節がうまくいかなくなり、体が「あたたかい(暑い)」「寒い」を繰り返すことで神経調節のバランスを失います。これが原因でアレルギー性鼻炎に似た症状が起こります。

自律神経が乱れる原因はさまざまですが、不規則な生活やストレス、更年期障害などが関係していると考えられています。

自律神経に関する詳しい情報はこちら 自律神経の乱れ

寒暖差アレルギー・風邪・アレルギー性鼻炎の違い

寒暖差アレルギーの特徴は、水っぽい鼻水や一時的なくしゃみなど

風邪とアレルギー性鼻炎、寒暖差アレルギーは症状が似ているものの、それぞれ原因が異なるため、症状にも違いがあります。

症状 鼻水の色 他の症状有無
寒暖差アレルギー 水っぽくサラサラ 発熱なし、温度変化を感じると一時的にくしゃみが続く
風邪 黄色っぽく、粘り気がある 微熱が出る
アレルギー性鼻炎 無色透明(副鼻腔炎などに悪化すると黄色っぽくなる場合もある。) 目や肌にかゆみが生じる

風邪の原因の80〜90%はウイルス感染であるため、鼻水が黄色っぽく、粘り気があります。一方で寒暖差アレルギーは、水っぽくサラサラした鼻水が特徴です。また、アレルギー性鼻炎では無色透明の鼻水が出ますが、副鼻腔炎などに悪化すると黄色っぽくなることもあり、つらい鼻づまりの症状が長期間続きます。

そして、寒暖差アレルギーは、微熱が出ることが多い風邪とは異なり、発熱することはありません。さらに、アレルギー性鼻炎によくみられる目や肌のかゆみも生じません。温度変化を感じたときに、一時的にくしゃみが続くことも寒暖差アレルギーの特徴です。熱いものを急に食べた時に鼻水が止まらなくなった経験はありませんか?これも一種の寒暖差アレルギーです。

寒暖差アレルギーは屋内外を行き来したときなどに症状が出やすい

寒暖差アレルギーは風邪やアレルギー性鼻炎と症状が似ているため、症状だけで見分けるのが難しいものです。

反対に、屋内に入ったとき、または部屋から部屋へ移動して温度が変わったときなどに症状が現れる場合は、寒暖差が原因かもしれません。しかし、室内にもハウスダストなどのアレルゲンは存在するため、自分がどこで、どんなときに症状が出やすいかをチェックすることが対処への近道になるでしょう。医療機関でアレルギー検査(採血など)を受けることで判断できる場合もあります。

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寒暖差アレルギーは市販薬で対処することも可能、症状がひどいときは病院へ

市販薬を活用する

寒暖差アレルギーには、アレルギー性鼻炎と同じ対処法が有用です。抗ヒスタミン薬や点鼻ステロイド薬などがあります。どちらも花粉症などのアレルギー性鼻炎・急性鼻炎用の薬として市販されており、使用することで鼻水、鼻づまり、くしゃみなど症状が緩和する可能性があります。

市販薬について、不明な点があれば医師・薬剤師や登録販売者に相談しましょう。

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医療機関を受診する

寒暖差アレルギーは、季節の変わり目に生じやすいもの。同じく秋口や春先に発症しやすい花粉症などのアレルギー性鼻炎、風邪などとの見分けが困難です。寒暖差を避けるなどの対処をしてもよくならない場合、症状がひどくなってつらい場合は、早めに医療機関を受診してください。

衣類の工夫や代謝アップなどで寒暖差アレルギーの予防を

体感の温度差をできるだけ小さくする

寒暖差アレルギーは7度程度の急激な寒暖差で生じると言われています。そのため予防には、体に感じる温度差をできるだけ小さくすることが重要です。脱ぎ着できる上着などでこまめに調節しましょう。冷えやすい首元、手首、足首を保温するため、スカーフやマフラー、手袋、靴下などによる調節も効果的です。

また、空調をうまく使うことも必要です。夏や冬は屋外と屋内の温度差が大きくなりやすいので、空調の設定温度を下げすぎない(上げすぎない)、各部屋の温度を一定にする、空調を直接肌に当てないなどの工夫をしてみましょう。

基礎代謝を上げる

基礎代謝が下がると、体内で熱を生成しにくく、わずかな外気の影響で冷えやすくなります。基礎代謝量は加齢とともに減少するので、低下しすぎないよう努めることが大切です。今まであまり運動をしてきていない人はウォーキングやラジオ体操などの無理なく始められる運動から取り入れていきましょう。体を動かすことに慣れている人はレジスタンス運動といわれる筋肉に負荷をかける筋トレに挑戦してみるのも良いでしょう。

冷たい食べ物や飲み物ばかりを摂取したり、冷房の風を直接受けるなど、冷えやすい習慣や環境をできるだけ避け、あたたかい飲み物を飲んだり、入浴したりといった体を温める習慣を取り入れましょう。

また、運動不足は基礎代謝の低下につながります。有酸素運動を取り入れるなどして基礎代謝を上げることを心がけてください。

筋肉量を増やす

寒暖差アレルギーは、筋肉量の少ない女性に起こりやすい傾向があるといわれています。筋肉には体内で熱を作る働きがあるので、適度な運動を習慣づけて筋肉量をアップすることで、冷えにくくなり、体温調節がしやすくなることが期待されます。

なお、定期的なスポーツなどで体を鍛え、温度差に反応しない体作りを行うことで、寒暖差アレルギーの症状が緩和される場合もあります。

食生活を見直す

規則正しい食事は、体のリズムを正常にし、自律神経を整えるのに効果的です。特に、毎朝決まった時間に朝食を食べると体が温まり、冷えを予防できます。

冷たい飲み物などを摂取しすぎないこと、体を温める食材(未精製の黒砂糖やもち米、しょうが、玉ねぎ、かぼちゃ、納豆、シナモン、山椒など)を意識的に取り入れると良いでしょう。

さらに、体の調子を整えるビタミン、ミネラルを積極的に取り入れるのもおすすめです。緑黄色野菜や海藻、豚肉などの肉類、果物などをバランスよく食べましょう。

タバコの煙、排気ガスを避ける

タバコの煙、排気ガス、化粧品などの香料や化学物質を吸い込むことが刺激となり、寒暖差アレルギーの引き金になることがあります。外出時などはできるだけこれらを避けるようにし、家の中にも持ち込まないよう心がけましょう。

規則正しい生活で自律神経を整える

自律神経を整えるためには、毎日規則正しく過ごすことが最も重要です。朝は決まった時間に起床して朝日を浴びることで、自律神経がリセットされます。食事は3食定時にバランスよく食べ、決まった時間に就寝することで、体内のリズムが整い、交感神経と副交感神経のバランスがとりやすくなります。

また、質のよい睡眠をとること、ストレスをためないよう心がけることも、自律神経を整えるうえでは大切なポイントです。

寒暖差を避け、規則正しい生活を!

寒暖差アレルギーは、医学的にはアレルギーではなく血管運動性鼻炎による症状です。一時的にくしゃみが続くけど風邪によくみられる発熱はなく、アレルギー性鼻炎のような目や肌のかゆみがないときは、寒暖差アレルギーの可能性を疑ってみてください。温度差による刺激から自律神経が乱れることによって起こることも多いため、症状が疑われる場合には、一度生活習慣を見直してみるのも良いでしょう。

朝晩の冷え込みへの対策と規則正しい生活により、症状が軽くなることも多いので、「寒暖差アレルギーかな?」と思ったらぜひご紹介した予防法を試したり、市販薬の使用や医療機関の受診を考えてみてください。

<参考文献>

・日本耳鼻咽喉科学会会報 2011,114 (12),934-937
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibiinkoka/114/12/114_12_934/_pdf
・千葉市医師会
https://www.chiba-city-med.or.jp/column/015.html
・e-ヘルスネット(厚生労働省) 加齢とエネルギー代謝
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-02-004.html