微熱
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微熱

ちょっと熱っぽい感じがするけれど、風邪の引きはじめかな、と心配した経験はあるかと思います。平熱よりも若干高めの状態が一定期間続くものを「微熱」といいます。その原因には風邪などの病気や体調の変化、日常生活による影響などが考えられます。ここでは微熱の原因や予防法、微熱を改善するための対処法などをご紹介します。

永武 毅 先生

監修

永武 毅 先生 (桜みちクリニック 院長)

微熱の定義と症状、微熱が続く場合の原因

普段の平熱よりも高く、目安として37.0~37.9℃までの体温を微熱といいます。しかし、平熱には個人差があり、子どもは大人に比べて比較的高かったり、平熱が低い人は36℃台でも微熱の場合もあり得ます。1日のなかでも午後になると高くなったりするなど、年齢や時間帯によって異なります。微熱は風邪を引いたときによく見られる症状です。風邪の原因の約9割はウイルス感染によるもので、一般的には風邪は7~10日ほどで自然と治るといわれています。微熱が何日も続くようなときには風邪以外の疾患が隠れている可能性があります。

※考えられる原因はさまざまで、ここで紹介しているものはごく一部です。心配な場合には医療機関を受診し、必要な検査や治療を受けてください。

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微熱の原因はストレスによる自律神経の乱れ、女性ホルモンの変化などが考えられる

自律神経の乱れ

自律神経は自分の意志とは関係なく、心臓を動かしたり、食べ物を消化したり、汗をかいたりするなど、必要に応じて自動的に調節する作用があります。体温も自律神経によって調節されています。ある症状を訴えるものの、検査では病気が特定できない場合に自律神経失調症という病名がつきます。自律神経失調症は、人間関係の悩みや仕事の不調、家庭内での葛藤などが原因となり心身にストレスがかかったり、不規則な生活、環境の変化などが原因となり自律神経そのもののバランスが乱れたりすることでイライラや不安、倦怠感などの症状があらわれます。微熱もその症状の一つです。

女性ホルモンの変化によって微熱が続く

生理周期(高温期)の影響

生理のある女性では一般的に、女性ホルモンのプロゲステロン(黄体ホルモン)の作用により基礎体温が上昇します。安静時の体温を基礎体温といい、朝目覚めた後、体を動かす前に測ります。生理周期が28日であれば、一般的に生理開始日から排卵までは基礎体温が低く(低温期)、排卵日から次の生理までの約14日間は基礎体温が高くなり、低温期よりも0.3~0.5℃高くなります。次の生理が始まると、基礎体温は低温期に戻ります。
また、思春期や更年期という女性ホルモンの分泌が変化する時期には自律神経のバランスが乱れやすく、微熱、不眠、疲労感などの症状が出ることがあります。

更年期障害

閉経を挟んだ前後10年間を更年期といい、卵巣の機能が低下し女性ホルモンの分泌が少なくなり、それが脳に刺激として伝わると自律神経にも影響し、微熱やほてり、のぼせ、心臓がドキドキするなどの自覚症状となってあらわれることがあります。更年期にあたる年代は、子どもの独立、親の介護、配偶者の定年など家庭環境に変化が生じたり、健康や老後に不安が生じるなど、心理的にも追い詰められたような気分を味わうことがあります。こうした社会的、心理的なストレスがホルモンに影響し、さらには自律神経のバランスも乱れて更年期障害としてあらわれることがあります。

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妊娠

基礎体温の高温期が3週間以上続いているときは、妊娠の可能性も考えられます。次の月経が始まらないため高温期が続き、妊娠中期(妊娠5~7カ月)を過ぎると体温は落ち着いてきます。

薬の副作用に起因する微熱

薬により引き起こされる発熱(薬剤熱)は、あらゆる薬で起こる可能性がありますが、抗生物質や抗けいれん薬などは特に注意が必要です。また、体温を調節する働きのある薬を飲んだり、がんなどの病気で抗がん剤を飲んだりすることで細胞が破壊されると熱が出ることもあります。

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微熱に加えてのどの痛みや頭痛を伴う場合、微熱が続く場合に考えられる疾患

※以下の疾患の中には、医師の診断が必要なものもあります。症状が続くなど心配な場合には、早めに医師の診断を受けましょう。

風邪や新型コロナウイルス感染症

風邪の9割はウイルスが原因で、鼻やのどなどに急性の炎症が起こります。鼻水やくしゃみ、のどの痛みからはじまり、発熱や頭痛、寒気、全身のだるさ、せき、たんといったさまざまな症状があらわれます。新型コロナウイルスによる感染症でも発熱やせきなどの比較的軽い風邪のような症状が見られることもありますが、息苦しさ(呼吸困難)、強いだるさ(倦怠感)、高熱などの強い症状があらわれることがあります。

肺結核

結核菌という細菌が肺に感染して起こります。せきやたん、肉眼では確認できない微量の血が混じったたん、微熱などの症状が2週間以上続きます。結核菌はせきなどによって感染が広がる可能性がありますが、肺結核は他の感染症とは異なり、感染しても発病しないことが多く、約9割の人は発病しません。発病するのは免疫の獲得が不十分であった場合や、糖尿病や腎障害などの病気である場合、老化などにより免疫力が低下した場合などです。最近では若年層での集団感染が多発しており、結核菌に新たに感染し、感染後すぐに発病することが多いという特徴があります。また、高齢者では感染後に長期間経過してから免疫力の低下によって発病することが多くあります。

虫垂炎(盲腸炎)

盲腸の先についている虫垂に炎症が起こる病気で、盲腸炎とも呼ばれます。急激な腹痛が突然起こると同時に、37~38℃の発熱が生じ、吐き気や嘔吐を伴います。痛みは多くの場合、初めはみぞおちにあらわれ、徐々に右下腹部に移行していきます。

慢性上気道炎(慢性副鼻腔炎、慢性扁桃[へんとう]炎)

鼻腔と呼ばれる鼻の周りにある空洞にウイルスや細菌が感染し、粘膜に炎症が起こり慢性化した状態を慢性副鼻腔炎といいます。蓄膿症とも呼ばれ、粘り気を帯びた鼻水が出て、頭痛や微熱、集中力の低下などの症状が見られます。
慢性扁桃炎は、扁桃炎を繰り返すうちに慢性化する場合が多く、急性ほどの高熱に至らない微熱が続き、のどの不快感やツバを飲み込む時の異物感、体の倦怠感などの症状があらわれます。

慢性腎盂腎炎(じんうじんえん)

血液からろ過されて生じた尿が集まる腎盂という部分や腎臓そのものが細菌に感染して起こる病気です。自覚症状がなく、気付かず放っておくと慢性化します。急性では悪寒(おかん)を伴う高熱が出ますが、慢性化すると微熱が続くようになり、尿の濁りや血尿、背中から腰にかけての痛みが起こります。さらに進行すると腎臓の機能が徐々に低下し、腎不全に陥ることもあります。腎盂腎炎の主な原因は、大腸菌などの腸内細菌が尿道からさかのぼるように腎臓に入ることで起こります。女性は男性に比べて尿道が短く細菌が侵入しやすいことや、肛門と尿道が近いことから女性に多く見られます。

※以上の疾患の中には、医師の診断が必要なものもあります。症状が続くなど心配な場合には、早めに医師の診断を受けましょう。

軽い症状ならセルフケアで対処、微熱が続くときは病院へ

自宅でのセルフケア

自律神経のバランスの乱れや体温調節に影響する薬の服薬、女性ホルモン分泌の変化による微熱は病気が原因ではありませんので、いつも通りの生活で差し支えありません。自律神経のバランスの乱れによる場合は、運動や旅行をする、趣味を楽しむ、食事のバランスに気を付ける、質の高い睡眠をとれるようにするなどして、上手に解消しましょう。

頭部や額を冷やす

頭部や額のほか、脇の下や首の周り、足の付け根など脈がふれる場所を、氷枕などで冷やすと微熱のつらさが緩和されます。また、ぬるま湯に浸して絞ったタオルで全身を拭くと、ほてりによる不快感の解消になります。

市販の薬を使う

微熱が続く場合は医師の診察を受ける必要がありますが、一般的な微熱は市販の薬で改善します。アセトアミノフェンやイブプロフェンなどを配合した解熱鎮痛薬や感冒薬が効果的です。

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病院など医療機関で診察を受ける

10日以上続くような微熱は、がんなど重大な疾患が隠れていることもありますので、医師の診察を受け、治療することをおすすめします。なお、病院などの医療機関へ行くときは、いつから、どのくらいの熱が出て、どう続いているか、微熱以外で感じている体の症状などを説明できるようにしておきましょう。

参考
川名正敏 総監修, オールカラー版 家庭の医学【第3版】成美堂出版, 2016
主婦の友社 編, 家庭の医学 主婦の友社, 2018
田坂定孝; 日新医学.44:12,635-8, 1957.
入来 正躬ほか; 日老医誌.12:3,172-7,1975.