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オニユリ

ユリ科(生薬名:百合ビャクゴウ) Lilium lancifolium Thunb

オニユリ
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 東アジアを原産とする多年生草本で、古い時代にわが国に持ち込まれて野生化したと考えられる。ユリは世界中で栽培されているが、食用にしているのは中国、朝鮮半島および日本のみといわれている。食用になる地下部の鱗茎リンケイは、卵球形で黄白色、やや苦味があり、茎は暗紫色を呈している。葉は皮針形ヒシンケイで、その葉腋ヨウエキに黒紫色で豆粒大の珠芽シュガ(ムカゴ)を着生する。7~8月には橙赤色で赤紫色の斑点のある花をつけ、その花被片は皮針形で大きく反り返る。ユリ属植物は2倍体が基本であるが、本種は3倍体で種子ができないことから、繁殖させるには鱗片葉リンペンヨウあるいはムカゴによって増殖するしか方法がない。和名のオニ(鬼)は、基準より大きい、あるいは派手など特別であることを指しているといわれている。
 秋から冬にかけて掘り上げた鱗茎を水洗し、バラバラにした鱗片葉を、通例、蒸したものが生薬「百合」で、その基原植物には、本種を含めた4種が掲載されている。百合ビャクゴウの文字は、多数の鱗片葉が重なっている形から名付けられた。百合は、神農本草経シンノウホンゾウキョウの中品ならびに第16改正日本薬局方に収載されており、味は甘で、性は微寒とされる。滋養強壮、鎮咳、去痰、利尿作用などがあり、漢方では鼻づまり、副鼻腔炎(蓄膿症)などに用いる辛夷清肺湯シンイセイハイトウ、不眠や自律神経失調などに応用される百合地黄湯ビャクゴウジオウトウなどに配合されている。その成分としては、多量のでんぷんのほかに、タンパク質、脂肪、微量のアルカロイドなどが知られている。
 「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」のコトワザは、別の意味で漢方の極意を表した言葉とされる。すなわち、芍薬は気が立ってイライラし、ヒステリーを起こすような人にのませなさい。牡丹皮は血が滞って巡らない状態の「瘀血オケツ」を治療する薬で、座りこんでテコでも動かないような女性にのませなさい。百合は精神を安定させる働きがあり、精神不安でボーッとしたりすることや、歩く時に百合の花が揺れるようにユラユラと頼りない、そんな人にのませると良い、という意味である。
 食用の百合根は、「根」ではなく、葉が変形した鱗片葉が集まったもので、茶碗蒸し、天ぷら、きんとん、菓子類などの食材として馴染み深いものである。食用にしている部位が薬用と同じ部分であり、薬食同源の典型的な一例と見られる。百合根の95%は、主に北海道で約6年間の肥培管理で生産栽培されている。

解説:尾崎 和男(京都薬用植物園) 撮影場所:京都薬用植物園

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