かぜの時の熱 知って安心早めの対処法

<監修> 加地 正英 Masahide Kaji
(函館五稜郭病院 総合診療科 診療部長)

かぜの症状は、発熱、悪寒、頭痛、鼻水、のどの痛み、せき、倦怠感……など様々ですが、普段通りの生活ができなくなってしまうものとして「発熱」があげられます。かぜをひいて最初は寒気や熱っぽさを感じ、いよいよ本格的に熱が出てくると、学校や仕事を休むことになってしまう人は多いのではないでしょうか。
かぜの時の「発熱」はなぜ起こるのか、どのように対処するのがよいのか。
かぜを長引かせないためにも、初期に症状にあった対処をすることが大切です。「発熱」を適切に対処し、かぜを一刻も早く治していつもの生活が送れる方法を、加地正英先生に解説いただきました。

発熱は体の防御反応であると同時に体力の消耗にもつながる

私たち人類は、長い歴史において様々な外敵や病気と闘い続けてきました。薬やワクチンもない中で感染症になった時は、熱を出して体温を上げるという機能(発熱)を獲得し、ウイルス感染などに対応して生き残ってきました。発熱は感染した時に自分を守るための自然な体の反応なのです。一方で熱が出ると、たくさんのエネルギーを消耗し、体力が奪われてしまいます。
さらに、悪寒がしたり、頭痛、倦怠感(だるさ)といった症状も起こってきます。このような症状は、体温を上げるために、または上がった結果起こる症状であったりするのです。このように、「発熱」は体の防御反応であると同時に、逆に体に大きな負担になり悪影響を及ぼすともいえるのです。

熱がつらい時はできるだけ早めの対処を 

それでは熱は薬をのんで下げた方がよいのでしょうか。
がまんできる範囲ならよいですが、熱がつらくて仕事ができない、学校に行けない、家族の面倒をみられないでは、社会生活に支障が出ます。
そんな時はがまんせずにできるだけ早くかぜ薬を使って熱を下げた方がよいでしょう。かぜを治すには自分の体力と免疫力でウイルスを排除するしかありません。発熱はエネルギーを多く使い、体力を消耗してしまいます。さらに、だるい、気分が悪いなど不快な状態が続くと、食欲が落ちたり、眠れなくなったりと、さらに体力が奪われることになってしまい、回復するのに時間がかかってしまいます。自分の体力を、かぜを治すことに集中して使うためにも、できるだけ早い対処が望まれます。つまり、かぜは熱を下げないよりも下げた方がよい時もあります。
それではどんな薬で対処するのがよいでしょうか。一般的なかぜであればまずは市販のかぜ薬で対処する方法があります。 ドラッグストアには症状別のタイプなど様々なかぜ薬が販売されています。
どんな薬がよいかわからない時には、薬剤師や登録販売者に相談して、自分にあったものを見つけるとよいでしょう。
なお、持病に高血圧や糖尿病、心臓や腎臓の病気がある方、高齢者のほか、発熱が3日以上続く場合や、いったん熱が下がったのにまた熱が上がる場合は、単なるかぜではない場合も考えられるので医療機関を受診しましょう。

かぜを治すために必要なこと

かぜを治すために一番大切なことはつらい症状に早く対処をして「体を休ませること」です。余分なエネルギーをできるだけ使わないことで、自分の体力でかぜを治すエネルギーとすることができるからです。そういった意味から、高熱や生活に支障が出るような発熱は、放っておくのではなく下げることが回復への近道といえます。動物は体調が悪い時にはじっと動かずに寝ています。それが一番効果的であることを本能でわかっているからです。
そして体力をつけるためには、水分補給や栄養も必要です。特に熱が出て汗をかいた時には脱水になりやすいので注意しましょう。また、食事は消化しやすいものをとり、おかゆやスープなど食事からも水分がとれるようなメニューがおすすめです。
このように、熱がつらい時はがまんせずに早めにかぜ薬を服用し、しっかり休養と栄養をとって体力を温存することで、かぜを長引かせずに早く治すことができるのです。

自分にあったかぜの治し方とはTOPへ戻る