はしか・風疹
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はしか・風疹

はしか(麻疹)、風疹(三日ばしか)は、それぞれのウイルスによって、皮膚を中心に症状が起こる感染症です。はしかは冬の終わりから春にかけて、風疹は冬から初夏にかけて患者数が増加します。どちらも乳児期後半から学童期の子どもに多い疾患でしたが、乳幼児期に予防接種を受けていない子どもが増えたために、近年は感染者の増加が問題となっています。

井上修二 先生

監修

井上修二 先生 (いのうえしゅうじ) (共立女子大学名誉教授、医学博士)

日常生活から考えられる原因

ウイルス感染

はしかウイルス、風疹ウイルスに感染している人のせきやくしゃみ、鼻水などによって感染者からウイルスが飛び散り、直接飛沫を吸い込んだり、手や肌に触れることで感染します。はしかは感染力が強いので、空気中に浮遊しているウイルスを吸い込み空気感染することもあります。はしかは感染するとほぼ100%発病しますが、風疹はウイルスに感染しても、20〜40%の人はまったく症状がでないままで終わることがあります。

はしか・風疹の症状

はしかの症状

初期には鼻水やくしゃみ、38℃前後の熱など、風邪に似た症状があらわれます。目やにや目の充血をともなうこともあります。次いで口の中の粘膜に、小さい白い斑点が出ます。その後3〜4日ほどで熱が下がりますが、約半日後に再び熱があがり、同時に赤く少し盛り上がった発疹が体中にあらわれます。症状は10日〜2週間程度でおさまりますが、まれに肺炎や中耳炎などを合併することがあります。また、大人になってからかかると重症化しやすいといわれていますので、注意が必要です。

風疹の症状

まず耳のうしろや首などのリンパ節が腫れ、その後米粒からエンドウ豆ほどの大きさの淡いピンク色をした発疹が顔や耳の後ろにあらわれ、発熱をともなうこともあります。この発疹は1〜2日で全身に広がり、3日程度で自然に消えていきますが、発疹が消えるころにかゆみが出ます。また、妊娠3カ月以内の妊婦が感染すると、胎児に重大な影響が出ることがありますので、なるべく子どものうちにワクチンを接種することが非常に重要となります。

予防法

はしかのワクチンを接種する

はしかの予防接種は決められた期間であれば、国の負担で受けることができます。また、予防接種前にはしかに感染している人に接触してしまったときは、すぐに医師に相談しましょう。はしかは感染してから症状が出るまでに10〜12日程度かかり、その間に適切な治療を受けることで軽症で済む場合があります。

風疹のワクチンを接種する

はしかと同様に、決められた期間であれば国の負担で予防接種を受けることができます。妊娠3カ月以内で風疹にかかると、胎児に影響が出ることがありますので、これから赤ちゃんを産む予定の女性でワクチンの接種を受けていない人は、必ず予防接種を受けましょう。自分がすでに風疹にかかったことがあるかどうかは、血液検査で調べることができます。

対処法

水分を十分にとる

とくにはしかでは発熱によって大量の汗が出るので、こまめに水分を補給しましょう。果汁ジュースや麦茶、紅茶などは、汗で失ったビタミンや塩分も補うことができます。また、赤ちゃんは発熱があると機嫌が悪くなって飲まなくなり、脱水症状を起こすこともあります。こまめに飲ませて、十分な補給を心がけましょう。

発熱時には頭部を冷やす

熱があるときは、氷枕や冷却ジェルなどで頭を冷やすと楽になります。また、発熱で体力を消耗しますから入浴は控え、かわりに蒸したタオルで顔や体を拭くとスッキリとして気分も良くなります。

暑すぎない程度に保温し、保湿する

室温は20〜25℃くらいにして、ときどき換気をするようにしましょう。加湿器や濡れタオルで室内の空気を保湿することも大切です。はしかや三日ばしかのときは、体が熱いのに手足が冷えてしまうことが多いので、薄手で長袖の寝巻きを着て、靴下や手袋などで手足の先が冷えないようにしましょう。

病院で診察を受ける

発疹や発熱など、はしかや風疹と思われる症状があらわれたらすぐに内科や小児科を受診しましょう。また、他の人にうつさないためにもはしかは熱が下がってから3日間、風疹では発疹がおさまるまでの間は幼稚園や学校、会社は必ず休みましょう。

プチメモ10、20代のはしかが増えている

10、20代のはしかが増えている

はしかにかかる子どもは減少しているのに10〜20代での感染が多くなっている…近年の傾向です。原因の一つは、ワクチンの本来の接種回数が守られていないこと。そしてもう一つは、はしかにかかる子どもが減ってきたために子ども時代にはしかの免疫を得る機会が減ったことと考えられています。はしかに対する免疫がないために、一人感染者がでると大きな流行となってしまうのです。