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ホップ

(クワ科/生薬名:ホップセン) Humulus lupulus Linn.(Moraceae)

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 西アジア原産のつる性宿根草シュッコンソウ。別名「セイヨウカラハナソウ」。雌雄異株。7月頃に開花するが、雌株の花序カジョは10節前後で、ジグザグ状中軸の節に2枚の外ホウに包まれて4枚の内苞があり、内苞の茎部に各1個の小さい雌花が着いている。したがって、一つの花序は40個ほどの小花の集合体である。緑色の苞の外側に長い白い柱頭が伸び出ていて、全体がブラシのように見えるので、俗に「毛花ケバナ」と呼ばれている。花粉に巡り会えないままの毛花の柱頭はやがて枯れ落ち、代わって外苞や内苞が肥大・発育して、雌の花序は全体として緑色の松毬マツカサに似た形状を呈する。これが毬花キュウカで、8月中旬~9月上旬に成熟すると、苞の茎部などに黄金色の粘り気のある顆粒が作られる。これが『ホップセン(ルプリン)』で、フムロン(humulone C21H30O5)、ルプロン(lupulon C26H38O4 )などの結晶性苦味質を含む樹脂およびフムレン(humulene C15H24)、ミルセン(myrcene C10H16)などの精油を含有している。これらの成分はホップ特有の苦味と香りをビールに与えると同時に、利尿作用も有している。また毬花の苞や中軸にはタンニン(ポリフェノール)を含み、これが雑菌の繁殖を抑えて腐敗を防ぎ、過剰なタンパク質を沈殿させて濁りを少なくし、泡立ちをよくする働きなどがある。さらに、鎮静作用もあり、他の鎮静剤との併用で作用が増強される可能性も指摘されている。
 一方、雄株は多数の小さい緑色の雄花が花穂カスイ状について集散花序をなしている、雄花は5枚の花被と5本の雄しべからなり、開花するとヤクが弾けて花粉がかなり遠くまで飛散する。雄花のルプリンは極めて微量であり、なおかつ受精した雌花は極端に芳香が損なわれるため、生産地においては育種目的以外の雄株は徹底して駆除される(雄株の発見者には賞金が与えられる由)。
 ビール造りは5000年の歴史があり、古代メソポタミアやエジプトの時代まで起源を遡ることができるが、本種が味付けに初めて登場したのは中世の半ば、中部ヨーロッパにおいてである。それまでは様々な香草や薬草が使われていたらしい。
 主として旧西ドイツ、アメリカなどで栽培・生産されていて、芳香付与に用いるもの(アロマホップ)と苦味付与に適したもの(ビターホップ)などがあり、50品種ほどが知られている。日本では初夏の気候が冷涼な山形、長野などでわずかに栽培されている。なお、東北以北に分布する近縁のカラハナソウ(var. cordifolius Maxim.)は、全形が本種に似ているが、腺毛が少なくて苦味ははなはだ弱い。

解説:渡辺 斉(京都薬用植物園 園長) 撮影場所:京都薬用植物園

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