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セイヨウオトギリソウ

オトギリソウ科(生薬名:貫葉連翹カンヨウレンギョウ) Hypericum perforatum Linn.(Clusiaceae)

セイヨウオトギリソウ
セイヨウオトギリソウ

 ヨーロッパ、アジア、北アフリカに分布し、日本にも帰化して野生化している多年草。草丈は約1mになり、直立して分枝が多い。茎に2本の縦の隆起線を有するのが特徴。楕円形で無柄の葉には透明な腺点と縁に黒い腺点がある。7~8月頃、枝の先に集散花序を出してレモンの香りのする黄色の5弁花をつける。花や葉を押しつぶすと、蛍光色素を放出するため赤色に変わり、芳香性の香りを発する。朔果サクカは10月に裂開する。
 全草を乾燥したものが「貫葉連翹カンヨウレンギョウ」で、収れん、抗菌、止血、利尿作用などがあり、喀血、吐血、リウマチによる骨痛、胃・腸カタル、黄疸などに用いられる。外用として火傷や口腔炎にも用いられる。花の抽出エキスには抗ウイルス、収れん、鎮静作用があるので、炎症や外傷、下痢などを改善し、血流を良くする。また軽度から中度のうつ病に効果があるとされるが、うつ病の治療薬SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)を併用すると、セロトニンの作用が増強されて副作用が現れやすくなるので、注意が必要である。最近の研究によると、免疫抑制剤、血液凝固防止薬、抗HIV 薬、経口避妊薬、気管支拡張薬など28種の医薬品と併用した場合、それらの薬物成分を代謝する特定の酵素が体内に増えるため、有効成分の血中濃度が低下して本来の効果が得られなくなることが明らかになった。
 成分としては、アントラキノン系の黒紫色色素ヒペリシン(hypericine C30H16O8)、フロログルシン誘導体のヒペルフォリン(hyperforin)、タンニン8~9%などを含む。ウシやヒツジなどが多量に食べて日光に当たると、紫外線を強く吸収して皮膚炎を起こし脱毛するので、北米やオーストラリアなどでは大きな問題となっている。
 属名は、あらゆる病気や悪魔に打ち勝つという意味で、古来より心の闇を照らして霊を追い出す「Sunshine Herb」と呼ばれ、不眠症やうつ病、ヒステリーなどの治療に用いられた。また英名(St. John's wort)は、この花がキリストに洗礼を行った聖ヨハネが打ち首になった8月27日頃に満開となることによる。
 和名(弟切草オトギリソウ)の由来について、江戸時代の百科事典『和漢三彩図絵』には「花山院の時代(10世紀頃)に、晴頼という鷹匠タカショウがいて、鷹の傷を治す薬草(長野、岐阜、徳島などの草地に自生する)の名前を秘密にしていたが、弟が密かに漏らしてしまったので、晴頼はその弟を斬殺してしまったことによる」と記されており、葉裏にある黒斑はその時の血しぶきとも伝えられる。

解説:渡辺 斉(京都薬用植物園 園長) 撮影場所:京都薬用植物園

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