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トウガン

ウリ科(生薬名:冬瓜子トウガシ) Benincasa hispida Cogn(Cucurbitaceae)

トウガン
トウガン

 インドから中国南部の熱帯アジアを原産とするつる性の一年草で、トウガン属にはこの1種のみが含まれる。現在では温帯地域も含め広範囲で栽培され、果実を食用としている。日本にはかなり古くに渡来し、本草和名ホンゾウワミョウ(918年)には「白冬瓜、加毛宇利カモウリ」の記載が見られる。和名のトウガンは、漢名「冬瓜」の音読み“トウガ”からナマってできたとされている。また、冬瓜の由来は、夏に収穫した果実を低温下で貯蔵すれば越冬して翌春まで日持ちすることによるなどの説がある。古名のカモウリは、果面に毛があることに由来し、現在も京都などに名前が残っている。その他、奈良時代の野菜名として正倉院文書モンジョでは漢名の「冬瓜」や「鴨瓜カモウリ」の名称が、長屋王木簡モッカンには万葉仮名の「毛瓜」の記載が見られる。
 栽培に関しては取り組み易い植物の一つであるが、同じウリ科植物のカボチャやユウガオなどに比べて発芽適温が高く、定植時の地温も18℃以上を必要とする高温性の植物である。気温の上昇に伴って急激に旺盛な生育をし始める。匍匐ホフク性の茎はよく伸びて6~7mになり、葉は互生し、5~6月頃黄色の雄花と雌花(雌雄同株)をつける。普通に栽培すると8~10月に収穫時期を迎え、果実は液果で球形または長楕円形を呈しており、若い果実は表面に毛が密生するが、成熟に伴い毛は離脱して果実表面は蝋質ロウシツで覆われる。沖縄種には白い蝋質がつかないので緑色を呈するものが見られる。なお、栽培品種としては、大丸とうがん(丸い果実)、長とうがん(長い果実)、姫とうがん(表皮が緑色)などがある。
 種子を乾燥したものが生薬「冬瓜子トウガシ」で、神農本草経シンノウホンゾウキョウに収載されており、性味は甘、涼である。鎮咳、去痰、排膿ハイノウ、消炎性利尿の効果があり、漢方処方では大黄牡丹皮湯ダイオウボタンピトウなどに配合され、炎症を鎮め、瘀血オケツを除くなどの作用を期待して、月経痛や便秘などの症状に用いられる。成分としてはトリゴネリン(trigonelline)、脂肪油、サポニン、少量のアデニンなどが知られている。果実にも利尿、解熱、解毒の効があり、腹部の水膨、暑気あたり、咳、下痢などに良いとされている。また、その最外層の外皮も冬瓜皮トウガヒと称して利尿薬に用いる。
 果実は煮ると柔らかくなり、淡白な風味と相まって懐石料理の素材として喜ばれ、あん掛けや吸い物に繁用されている。果実は低カロリーのダイエット食としても最適な食材で、カリウムとビタミンC に富んでいるのが特徴である。また、消化しやすく、弱った胃腸に優しい食べ物とされる。但し、夏野菜の特徴である身体を冷やす効果もあることから使い方に気をつける。

解説:尾崎 和男(京都薬用植物園) 撮影場所:京都薬用植物園

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