高熱
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高熱

一般的に、平熱(35〜37℃未満)より高くなった状態を発熱といい、微熱(37.0〜38.0℃)、高熱(38℃以上)といっています。高熱が出たときはウイルスや細菌による急性の感染が疑われます。なお、考えられる原因はさまざまで、ここで紹介しているものはごく一部です。心配な場合には必ず医療機関を受診してください。

井上修二 先生

監修

井上修二 先生 (いのうえしゅうじ) (共立女子大学名誉教授、医学博士)

高熱が出る、高熱が続く場合に原因として考えられる主な疾患

細菌やウイルスへの感染が原因となるインフルエンザ、おたふくかぜ、扁桃炎、咽頭炎、肺炎、食中毒、急性腎盂腎炎、急性胆嚢(たんのう)炎、急性胆管炎、急性肝炎、腹膜炎、脳炎、髄膜炎などさまざまな疾患が高熱を引き起こします。痔ろうの初期症状でもある肛門周囲膿瘍も高熱の原因になります。

※以下の疾患は、医師の診断が必要です。
下記疾患が心配な場合には、早めに医師の診察を受けましょう。

インフルエンザ

インフルエンザウイルスの感染によって起こります。急速に39℃前後の高熱が出るとともに、筋肉痛や関節痛、倦怠感、頭痛、食欲不振などの全身症状と、鼻水、くしゃみ、のどの痛みなどの風邪症状があらわれます。発熱はときに40℃以上にもなることがあります。

この疾患・症状に関連する情報はこちら。 インフルエンザ

おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)

ムンプスウイルスによって耳の痛みから始まり、高熱、食欲不振、頭痛、嘔吐などがあらわれます。耳の付け根にある唾液腺が炎症し、腫れあがります。まれに難聴や脳炎などを併発することがあるので注意が必要です。大部分は15歳以下の小児がかかり、季節的には春から夏に多くみられます。

この疾患・症状に関連する情報はこちら。 耳の痛み

扁桃(へんとう)炎、咽頭(いんとう)炎

扁桃炎は、のどの奥の扁桃が細菌に感染して炎症が起こる疾患です。真っ赤に腫れ、悪化すると表面に膿をもちます。高熱とのどの激しい痛み、全身の倦怠感があらわれます。咽頭炎は、ウイルスや細菌によってのどの粘膜に炎症が起こります。のどの痛みを感じ、頭痛や発熱をともなう場合もあります。

肛門周囲膿瘍

直腸から肛門の周囲の粘膜に傷がつき、大腸菌などの細菌が肛門周辺に侵入し、化膿して膿が溜まります。膿は自然に皮膚をやぶって外に流れだします。痔ろうの初期段階です。肛門の周囲にしこりや腫れがあらわれ、同時に肛門周囲の灼熱感や激しい痛みを感じます。また高熱や寒気、吐き気などの症状をともない、ときには40℃以上の高熱になることもあります。

肺炎

ウイルスや細菌が肺に侵入し、炎症を起こします。風邪をこじらせたり放置したりしていることが原因の一つです。のどが痛くないのにせきやたんが出たり、高熱が1週間以上続きます。また、呼吸が苦しくなることもあります。体力が落ちている人や、免疫力の弱いお年寄りに二次感染症として多くみられます。

乳腺炎

乳腺に炎症が起こる疾患です。授乳期では、乳腺内に溜まった乳汁に細菌が感染し発病します。授乳期以外では、主に乳腺から出た乳汁の通り道である乳管が拡張し、そこに細菌が感染して炎症を起こすことが原因になります。乳腺が腫れて、乳房全体や脇の下のリンパ腺が大きく腫れて痛み、高熱が出ます。

急性腎盂腎炎(じんうじんえん)

腎盂や腎そのものが細菌に感染して起こります。悪寒や高熱とともに、尿の濁りや血尿がみられる他、背中から腰にかけての痛みや吐き気、嘔吐などが現われることもあります。排尿時の痛みや尿の回数が増えることもあります。主な原因は下半身の冷えによるもので、この悩みを抱える女性に多くみられる疾患です。

急性胆嚢炎(たんのうえん)・急性胆管炎

胆嚢や胆管が、細菌に感染して起こります。二つが合併して発病することが多く、まとめて胆道炎と呼ばれることもあります。上腹部の痛みに高熱、吐き気をともないます。化膿した胆嚢が破れて、腹膜炎を起こすと、腹部全体に激しい痛みがあらわれます。

急性肝炎

肝炎の原因にはウイルス、薬剤、アルコールなどがありますが、多くはウイルスによるものです。A型、B型急性肝炎の感染初期には風邪に似た症状が出ます。その後高熱、頭痛、倦怠感などの全身症状や腹痛、下痢、吐き気などの消化器の症状があらわれます。このような症状が1週間程度続いた後、黄疸があらわれ目の結膜や顔の皮膚が黄色くなります。

腹膜炎

内臓を包んでいる腹膜が細菌に感染して炎症が起きる疾患です。急性虫垂炎や胃・十二指腸潰瘍、胃がんなどで胃や腸に穴が開いたり、腸閉塞によって組織が部分的に死滅する壊死などが原因となります。代表的な症状は腹痛ですが、その他に高熱、吐き気、嘔吐、呼吸障害などがあります。適切な処置を行わないと、生命に関わる場合もあります。

※以上の疾患は、医師の診断が必要です。
上記疾患が心配な場合には、早めに医師の診察を受けましょう。

高熱はウイルスや細菌の感染、体内の炎症によって引き起こされる

ウイルスや細菌などの病原体への感染

ウイルスや細菌などの病原体が体内に侵入すると、病原体の持つ毒素が体温の上昇を引き起こします。さらに、これに対応して病原体を排除しようと免疫活動を活性化することで、高熱が起こります。

炎症や膿

細菌やウイルスなどの病原体をはじめ、やけどや放射線などの物理的な刺激、薬物などの化学的な刺激、アレルギー反応などによって有害な刺激を受けたときに、体の防御反応として炎症が起こります。発疹や熱感、腫れ、痛みなどが起こりますが、全身症状として発熱が起こります。そして炎症部分に原因菌が増殖して、化膿性の炎症を起こして膿が溜まると、さらに高熱が出ることがあります。

高熱が出た場合はすぐに病院で診察を

病院で診察を受ける

高熱が出たときは、できるだけ早く医師の診察を受けましょう。なお、病院へ行くときは、初期の熱の出方や症状が診断の重要な情報になりますから、いつから、どのくらいの熱がでて、どう続いているか、また熱以外にどのような症状が出ているかを説明できるようにしておきましょう。

体温を調節し水分を補給する

暑いと感じたら布団を少なめにし、寒いときは厚着をするなど体温の調節をはかりましょう。また、高熱が出たときには脱水を起こしやすいので、こまめに水分をとるようにしましょう。

冷やして高熱を抑える

頭部や脇の下や首の周り、足の付け根など脈がふれる場所を、氷枕などで冷やすと体温を下げる効果があります。また、ぬるま湯を浸して絞ったタオルで全身を拭くのも効果的です。

市販の薬を使う

すぐに医師の診察を受けることが基本ですが、難しい場合や時間がかかる場合は市販の薬を活用するといいでしょう。一時的に高熱を抑えるには、アセトアミノフェンやイブプロフェンなどを配合した解熱鎮痛薬や感冒薬が効果的です。

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高熱を出さないためにはうがいと手洗いの習慣をつける

高熱の主な原因は、細菌やウイルスによる感染症です。感染症の予防には家に帰ったらうがい、手洗いをする習慣をつけることや、入浴で全身をしっかり洗って病原体を寄せ付けないことが大切です。また、栄養バランスの良い食事をとり、睡眠を十分にとることで体の抵抗力を高めることも効果的です。

プチメモ自分の平熱を知っていますか?

自分の平熱を知っていますか?

体温は個人差が大きく、人によって平熱が異なります。健康なときに検温して知っておくようにしましょう。体温計には、脇の下で計る腋下(えきか)式、口の中で計る口腔(こうくう)式、耳の中で計る耳式などがあります。脇の下で計る場合は、汗をよくふいて、体温計の先を脇の斜め下からくぼみに当ててはさみ、反対側の手で腕を押さえてはかります。入浴後や運動後は体温が上昇しているので、体温測定は避けましょう。