顔色が悪い
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顔色が悪い

顔にはたくさんの血管が集まり、多くの血液が流れています。その血液の量や状態が反映される顔色は、健康の重要なバロメーターになります。ときには疾患のサインを示すこともあり、顔色が突然変化したり、顔色が悪い状態が続く場合は疾患が疑われます。

井上修二 先生

監修

井上修二 先生 (いのうえしゅうじ) (共立女子大学名誉教授、医学博士)

顔色が悪い原因はストレスによる自律神経の乱れや血流の悪化などが考えられる

興奮や緊張の高まり

血液の循環は自律神経によってコントロールされています。興奮したときに顔が赤くなるのは、心臓の働きを支配している自律神経の一つである交感神経が強く働き、心拍数が上がって血液の流れが一時的に活発になるからです。また、緊張したときは、皮膚の交感神経が強く働き、顔の毛細血管が収縮するため、顔が青ざめます。

体の冷えによる体温の低下

体温が35度台という低体温の人が増えています。原因としては、お風呂に入らずシャワーで済ますことや運動不足、冷房の効かせすぎ、体を冷やす食品の摂取、過度なダイエットによるエネルギー不足、ストレスなどが考えられます。体が冷えると顔の皮膚の血管が収縮して血流が悪くなり、顔色が悪くなります。

顔色の悪さの原因となる主な疾患

顔色によっても、疑われる疾患が異なります。顔色が青白いようなときは、主な原因として貧血が考えられます。一酸化炭素中毒のように、極端に酸素が不足した場合は、顔色は紅潮した赤色になります。また、胆石症、肝炎や肝硬変では、顔が黄色みを帯び、アジソン病や腎不全では、黒ずんで見えるようなことがあります。

顔色の悪化に加えて頭痛や吐き気、めまいを伴う場合に考えられる疾患

※以下の疾患は、医師の診断が必要です。
下記疾患が心配な場合には、早めに医師の診察を受けましょう。

貧血

鉄分の不足などが原因で、酸素と結合して酸素を体のすみずみまで運ぶヘモグロビンが減少し、血液中の酸素濃度が薄くなった状態です。ヘモグロビンの数値が男性は13.0g/dl以下、女性は12.0g/dl以下になると、貧血とされています。ヘモグロビンは酸素と結合して赤色になるので、ヘモグロビンが不足すると赤味が少なくなって顔が青白くなります。

この疾患・症状に関連する情報はこちら。 貧血

一酸化炭素中毒

都市ガスやプロパンガスなどのガスもれ、石油ストーブの不完全燃焼、締め切った部屋での練炭の使用などによって、酸素を運ぶ役割を果たす血液中のヘモグロビンが一酸化炭素と結びつき、その結合物は赤色調になるので、顔が赤色になります。その他頭痛や嘔吐、意識障害、呼吸困難が起きます。

急性肝炎

肝炎の原因にはウイルス、薬剤、アルコールなどがありますが、多くはウイルスによるものです。A型、B型急性肝炎の典型的な症状は急な強い全身倦怠感、食欲不振、嘔吐、高熱などで、このような症状が1週間程度続いた後、黄疸があらわれ目の結膜や顔の皮膚が黄色くなります。C型肝炎が慢性肝炎に移行したときや、それがさらに進行して肝硬変を起こしたときには顔は暗褐色になります。

胆石症

脂質の消化を助ける胆汁が固まり、胆のう、胆のう管、総胆管に胆石ができると激しい上腹部痛が起きます。右肩に響くような痛みが出るのが特徴で、発熱、吐き気・嘔吐もみられます。また、胆汁の流れが悪くなり、黄疸が起きて顔が黄色くなったり、尿の色が濃くなったりします。発作が起きたときには、ショック症状によって血流が低下し、顔が真っ青になります。中年以降の肥満の人に起こりやすい傾向があります。

胃潰瘍

強い胃酸と胃の消化酵素によって胃の粘膜が大きく傷つけられ、粘膜の一部が欠けるのが胃潰瘍です。主にピロリ菌感染やストレスが原因で起こります。主に食後、みぞおち周辺に重苦しい痛みが起こります。たえず潰瘍から少量の出血があり、吐血や血便が起きることもありますので、貧血で顔が青白くなったり、重い場合は淡黄色になります。

十二指腸潰瘍

強い胃酸と胃の消化酵素によって十二指腸の粘膜が大きく傷つけられ、粘膜の一部が欠けるのが十二指腸潰瘍です。主にピロリ菌感染が原因で起こります。早朝や空腹時にみぞおち周辺がシクシクと痛み、食事をとると治まります。胃壁よりも潰瘍が深く進行しやすく、出血しやすい傾向があり、重度の貧血状態では顔が蒼白色になります。

アジソン病(慢性副腎皮質機能低下症)

結核や自己免疫の異常などにより、副腎皮質ホルモンの分泌が低下する疾患です。疲労感、食欲不振、体重減少などが生じ、皮膚に色素沈着が起きて顔や手の甲などが黒くなったり、口の粘膜に黒いしみができるのが特徴です。頭痛、めまい、下痢、吐き気や嘔吐などのほか、性ホルモンの欠落による性欲減退をともないます。

※以上の疾患は、医師の診断が必要です。
上記疾患が心配な場合には、早めに医師の診察を受けましょう。

一時的な顔色の悪さは市販薬で対処、他の症状をともなう場合は病院へ

市販の薬を使う

貧血で顔色が悪い場合は、鉄分、造血に関わる栄養素である葉酸やビタミンB12、血行を良くするビタミンEなどが配合された薬や、造血を助けるビタミンB群を含んだビタミン剤、鉄分の吸収を高めるビタミンC剤、栄養補給剤などが効果的です。

病院で診察を受ける

顔色は健康状態のバロメーターです。異変のサインが顔色にあらわれることもありますので、倦怠感や食欲不振、みぞおちの痛み、めまい、発熱など気になる症状をともなうときは、主治医の診察を受けましょう。

日常的に身体を温め、鉄分やタンパク質を摂取して顔色の悪さを予防しよう

体を冷やさない

体を冷やすと皮膚の血行が悪くなります。冷房の効いた部屋で長時間過ごすことや、冷やした食べ物などには注意が必要です。ぬるめのお風呂にゆったりとつかったり、しょうが入りの飲み物で体を温めたりして、冷えを防ぎましょう。

貧血体質をつくらない

毎日の食事の中で、ヘモグロビンの主成分である鉄分や良質なたんぱく質を多くとりましょう。鉄分は赤身の肉や魚、レバー、アサリ、卵黄、ホウレンソウなどに、良質なたんぱく質は牛肉、豚肉、豆類などに多く含まれています。鉄製の鍋やフライパンを使うのもいいでしょう。また、鉄分の吸収を高めるビタミンCの豊富な野菜や果物もバランス良くとりましょう。

プチメモ顔色が良くなる首と頭のマッサージ

顔色が良くなる首と頭のマッサージ

冷えによって全身の血行が悪くなると、顔にくすみやクマがあらわれます。そのようなときは、首のマッサージをしてみましょう。首は頭部へ血液を送る大事な場所。首の筋肉が緊張していると、血流が滞りやすくなります。オイルを手にとり、親指をのぞく4本の指で、首のつけ根から上に向かって優しくマッサージしてください。左右、4〜5回ずつ繰り返します。また、頭皮のマッサージもおすすめです。頭頂部にある百会(ひゃくえ)というツボは自律神経とも直結しているので、マッサージのときにこのツボを刺激するとより効果的です。