排尿困難

排尿を開始してからすぐに出なかったり、終了まで時間がかかったりして、スムーズな排尿に支障をきたすのが排尿困難です。また、排尿の後も出きった感じがしなく、すっきりしない残尿感も排尿困難の症状の一つです。

日常生活から考えられる原因

1加齢による機能の変化

加齢にともなって腹圧が低下したり、膀胱の筋肉量が減少したり、前立腺が肥大することで、尿の通り道を圧迫することで尿に勢いがなくなり、チョロチョロとしか出なくなることがあります。そのことによって、排尿後も尿が膀胱に残っているような残尿感を抱くようになります。

2妊娠、出産による骨盤底筋のゆるみ

女性が妊娠、出産を経験すると、子宮や膀胱を支えている骨盤底筋がゆるむことで子宮や膀胱の位置がずれたり、下がったり、腹圧が低下したりします。そのため、尿に勢いがなくなり、排尿が困難になって、残尿感を抱くことがあります。

3薬剤の影響

お年寄りでは、風邪薬に含まれる抗ヒスタミン剤や、その他胃腸や不整脈の治療薬などによって、排尿困難の副作用が起きることがあります。

4排尿困難の原因となる主な疾患

子宮筋腫や前立腺肥大症、前立腺がん、尿道狭窄症では、尿の通り道が狭くなるために排尿困難が生じます。また、尿道結石や尿管結石のように、尿の通り道に結石ができることで、排尿困難になることがあります。女性では、更年期以降から子宮脱や膀胱脱によって排尿困難が起こることも少なくありません。また、排尿を促す自律神経に障害が起こると排尿困難が生じることがあります。

排尿困難をともなう疾患

1前立腺肥大症

男性が60歳を超えるころから増える疾患で、肥大化した前立腺が尿道を圧迫することで排尿困難が起こります。尿の勢いが弱くなり、尿が出るまでに時間がかかるために排尿後も残尿感があり、夜間の排尿回数が多くなるなどの症状がみられます。進行すると尿がまったく出なくなる尿閉も見受けられます。
風邪や花粉症の治療薬として抗ヒスタミン剤を服用していると、前立腺肥大症の症状を悪化させることもあるので、注意が必要です。また、前立腺がんの症状は、前立腺肥大の症状とよく似ているため、定期的な健診が重要視されます。

2膀胱結石・尿路結石・尿道結石

膀胱や尿路、尿道に結石ができる疾患です。尿の通り道にできる結石が障害になるため、尿がスムーズに流れなくなり、排尿に時間がかかる排尿困難が生じます。その際は、残尿感が起こり排尿の快感が得られないことによる頻尿がみられます。また、結石が尿の通り道の壁を傷つけると血尿がみられ、腰痛や下腹部の激しい痛みをともないます。

3尿道狭窄症(にょうどうきょうさくしょう)

尿道の内側が狭くなるために尿が出にくくなる疾患です。以前は淋病や結核菌による慢性的な炎症が原因になるケースが多くみられましたが、近年は手術や検査などで尿道にカテーテルや内視鏡を挿入することで尿道を傷つけてしまうために起こるケースも多くみられます。尿が細くなったり、膀胱にある尿が排尿できない状態になることもあります。

4急性膀胱炎

膀胱内に細菌が侵入して炎症を起こすのが膀胱炎です。長時間のトイレの我慢や、過労による抵抗力の低下、冷えによる水分代謝の低下などが原因で起こります。膀胱炎になると頻尿や、排尿後の残尿感、排尿時の痛み、尿のにごり、血尿などの症状があらわれます。圧倒的に女性に多く、再発しやすく慢性化すると尿が溜まるだけで痛みが生じます。

5子宮筋腫

子宮にできる良性腫瘍です。30~40歳代に多く、成人女性の5人に1人は筋腫があるといわれています。初期の自覚症状はほとんどありませんが、筋腫が大きくなると生理痛が強くなり、経血の増加や期間の長期化がみられます。そのため、貧血やめまい、立ちくらみなどを引き起こします。また、周囲の臓器にも影響を与えて、頻尿や排尿困難、排便時の痛み、腰痛を起こすこともあります。不妊や流産の原因にもなります。

6子宮脱・膀胱脱

出産や加齢、肥満が原因となって、子宮や膀胱を支える骨盤底筋がゆるみ、子宮や膀胱が体の外に飛び出してしまう疾患です。更年期以降の女性に多くみられます。排尿困難、尿漏れ、頻尿など尿のトラブルが起こる他、腰痛、便秘、おりものの増加などの症状もあらわれます。

7神経因性膀胱

排尿を促す自律神経の障害によって起こる排尿のトラブルを神経因性膀胱といい、頻尿、失禁、排尿困難などが生じます。神経に障害を起こす疾患には、脳血管疾患、糖尿病による神経障害、脊椎損傷、パーキンソン症候群などがあります。また、子宮がんや直腸がんの手術の際に神経を傷つけたために、排尿困難が生じることもあります。※上記疾患が心配な場合には、早めに医師の診察を受けましょう。

日常生活でできる予防法

1細菌の膀胱感染を防ぐ

トイレは我慢せずに、水分は多めにとるようにしましょう。また、下半身を冷やさないように注意することも大切です。そして、生理用ナプキンやおりものシートは、3時間を目安にこまめにとりかえるようにして、外陰部は常に清潔に保つ習慣をつけましょう。

2アルカリ性食品で結石を防ぐ

尿路中の尿が酸性に傾くと結石ができやすくなるので、鶏卵や牛肉などの動物性たんぱく質や塩分、ビタミンCのとりすぎに気をつけ、適度な水分をとるように心がけましょう。尿中のカルシウム濃度を低下させる働きがあるクエン酸を多く含む、酢や柑橘類を積極的にとりましょう。

3運動習慣をつけて、尿管結石を防ぐ

適度な運動をしている人の場合、できる尿管結石の大きさが小さく、尿管結石ができたとしても気がつかないうちに流れ出ていくことがわかっています。ウォーキングなどの軽い運動を習慣にして、尿管結石が尿の通り道に沈着することを防ぎましょう。できるだけ毎日続けるためにも、通勤の際に一駅手前で降りて歩くなど、日常生活に運動を取り入れていくことをおすすめします。

対処法

1病院で診察を受ける

排尿困難など排尿のトラブルは、日常生活の質を著しく低下させます。気になる症状があるときは、主治医や泌尿器科の診察を受けましょう。

プチメモ尿の状態や異常で、体の異常をチェック!

色の変化でとくに注意したいのは、尿が赤くなる「血尿」。腎臓や膀胱、尿道や前立腺などの病気も考えられます。尿がにごったときには結石や膀胱炎が、にごりや膿が出て、痛みや発熱、悪臭をともなうときは尿路のどこかに病気があることが疑われます。また、尿の量が異常に多いときには糖尿病や腎臓病、逆に明らかに少ないときは、前立腺や腎臓の病気が考えられます。
気になる症状があれば、主治医や泌尿器科の診察を受けましょう。