生薬マメ知識

紫色はステータスの象徴だった!?

ムラサキは、アカネ、ベニバナとともに「三草」と呼ばれ、古くから薬草や染料として重用されてきた植物です。聖徳太子が制定した冠位十二階では、最も高位である「徳冠」の冠の色を「紫」と定めたことから、それ以後、紫は常に高貴な色とされてきました。事実、万葉の時代には「京紫」、鎌倉時代には「岩手紫根」が広く知られ、徳川時代には武蔵野産で染めたものを「江戸紫」と呼び、人々から大変珍重されていたそうです。
しかし、紫がチヤホヤともてはやされたのは、明治まで。それ以降は急速に衰退し、現在ではごく一部の伝統芸術として紫根染めが行われています。