生薬マメ知識

広葉樹林のカゲロウ!?

エンゴサクは、早春に芽を出してから、5~6月の晩春には地上から消えてしまいます。このように、春に儚(はかな)く消え去る姿から、エンゴサクは虫のカゲロウ(英名=エフェメラ)にたとえられ、「スプリングエフェメラル(=春の儚(はかな)いもの、春の短い命)」の名で親しまれています。そんな短命の理由は、エンゴサクの育つ環境にあります。エンゴサクが根を張るのは落葉広葉樹林。そこは葉が覆い茂る初夏~秋には、地面は真っ暗ですが、紅葉の時期が過ぎ葉を落とすと、地面に日が当たり別世界のようになるのです。つまり、落葉広葉樹林が新緑で再び暗くなるまでの、わずかな春の一時期がスプリングエフェメラルの活動期。その時期にたっぷり光合成を行い一年分のエネルギーを得ると、長い長い眠りに入ってしまうのだそうです。